2018年秋の旅 韓国(9月)
帰宅して、夜ご飯を食べているときにテレビを見るのが習慣になっている。八月は残業続きで深夜に帰宅することが多かったので、ただひたすらに穏やかな映像を見たくて、世界猫歩きか孤独のグルメを好んで見ていた。孤独のグルメは一話完結のオムニバス形式で、自営で雑貨輸入を生業としている主人公が、日々の業務あるいは出張など行く先々で種々多様な料理を味合う様を淡々と描いたドラマだ。出先でどんな料理がでても穏やかに受け入れたり、料理の新奇を積極的に楽しむ様が、起伏の少ないゆるやかなテンションで描かれていて、疲れた頭で見るのにちょうど良かった。
たまたまシーズン7が韓国出張編で、全州で納豆汁を食べる話を見て食べてみたくなったのと、一度韓服をレンタルで着てみようと話をしていたので、秋の旅行の行き先は全州と、韓服レンタル店が数多くある全州韓屋村に決定。
金曜深夜発の列車で水原から全州へ。ホテルに到着した後は即就寝、朝ゆっくり目に起床した後さっそく納豆汁を食べに出かけた。
店の入り口に足を踏み入れた瞬間、納豆の匂いが漂う。広々とした座敷に案内され、納豆汁を注文すると、即白飯とバラエティ豊かなパンチャンが運ばれてくる。この提供までのスピーディさに韓国に来たな、と思う。
パンチャン。かぼちゃのナムルが美味しかった。
メインの納豆汁。店の奥にサラダビッフェのようなコーナーがあり、丼にサンチェなど葉物野菜を好きなだけ盛り付け、ご飯と納豆汁、好みでナムルやテンジャンを入れてビピンバ形式にして食べる。天候不良に応じて野菜高騰しがちな国に住んでるから、野菜食べ放題は本当にうれしい。
韓国料理は味つけをいくらでもカスタマイズできるスタイルの料理が多く、その自由さが魅力的でいいなと思う。
食後はタクシーにのって全州韓屋村まで移動。まずは入り口付近にある韓服レンタルで着替え。
上衣、下衣の柄と色のバリエーションは想像以上に豊富!レンタルに特化しているのか、本式のものとは違うかもしれないが韓服の着付けは着物と比べて随分と簡単だった。店のスタッフに着つけてもらったあとは部屋の奥の鏡台へ案内され、手際よく5分くらいでおしゃれなまとめ髪にしてもらい、更に韓服と色を合わせたヘアアクセサリーを気前よくふんだんに付けてもらった。成人式みたいで嬉しい。
若い女性だけかと思いきや、老若男女区別なく華やかな韓服を身に着ける人が多かった。祖母、母、娘の三世代でお揃いの韓服を身につけた家族や、男性がチマ、女性がパンツスタイルのカップルもちらほらいてかわいかった。古風ゆかしい伝統家屋が立ち並ぶエリアを想像したが、大通りの家屋はほぼすべて土産さんかカフェ、飲食店に改装されており、通りは美味しそうな匂いとご飯がいっぱいで、目移りして大変だった。
本日のおやつ、搾りたてスイカジュース。くり抜いた実も添えてくれるのが嬉しい。
韓服レンタルを終えたあと、帰る前に行列ができていたコロッケ屋さんと饅頭屋さんで夕飯を調達。プルコギコロッケや、チーズクリームコロッケ、あんコロ、海老饅頭などを買い込み、全州駅へ。
帰路の途中で、台風による帰国便のキャンセルが決定。半ば予想していたが、もう一日遊べることになったので、延泊分のホテルをソウルに江南に確保。日系ホテルだったので銭湯がついており、熱い湯とサウナでリフレッシュできた。お風呂大好き。
お昼は人生2回目のカンジャンケジャン。
醤油やヤンニョムに漬け込んだワタリガニを、ビニール手袋をつけた手で甲羅に圧力をかけて身を押し出すようにして食べる。半透明の弾力ある身がおいしくてひたすら夢中で食べた。こんなにおいしくて、お代わり自由とか神なのか。甲羅を皿にして、蟹を浸していたスープとご飯を混ぜて食べるのも絶品だった。さすが、ご飯泥棒の異名をもつだけあるなー。胃袋の限界まで食べた。
ついでに一年ぶりくらいにサムジキルを散歩。AlivingMuseumというトリックアート展とアトラクション施設へ。スカートで行ったのは完全に間違いだった!が、思いがけず全力でアトラクションを楽しんだ。
オソルロクという有名なお茶屋さんで休憩。
イートインスペースが2階と3階にあるが、かたやファーストフード、かたや喫茶店風と、内装が別の店か?と思うほどに違う。もちろん3階へ。ロールケーキは、ちょっとクリームが少ないが、小山ロールを思い出す美味しさだった。
夕方は汝矣島で散歩。テントを持ち込んでくつろぐ人たちや、凧遊びをする人たちを横目に、とりとめない話をしながらなんだかんだで電車2駅分くらい歩いた。
ホテル付近で夕飯を食べに外に出る。ノープランで歩いていると看板にカムジャタンの文字を見つけ、まだ食べたことがなかったのでその店に入ったものの、隣席の女性グループが食べていた焼肉料理があまりに美味しそうだったので、あっさりそちらに変更。
注文してすぐ、中央に素晴らしいデザインの鍋が置かれた。素晴らしきツヤ、そして存在感。
山盛りに盛ったモヤシにバターを乗せ、もやしがしんなりした頃に軽く炒めたあと、肉を焼いて食べる。これがあまりに美味しくて、ひたすらもぐもぐ食べる。
適当に入った店が思いがけず美味しいとすごく得した気分になる。また来たい。
次の日は帰国。
出発前に空港1Fのポンジュクでランチをとるのが恒例になりつつある。
今回はじめてかぼちゃ粥にしたけど、すごく美味しかった。あとは愛するプルコギ。いつどこで食べてもすばらしく美味しい。
普段二泊三日の旅行ばかりなので、一日足すと満喫感がさらに追加されて、とても楽しかった。美味しい、よい旅でした。